今回のブログは何回かにわたって、現在、小規模事業者にとってもっとも使いやすい補助金である「小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型)」の活用方法について書いていきます。第1回目の今回は、美容室です。
多くの美容室の経営をしておられる方は、緊急事態宣言、まん延防止の措置により、大きな影響を受けていらっしゃることと思います。お客様のことを考え、非対面型、非接触型に業務を変えなくてはと考えている経営者も多いことと思います。そのための資金繰りの手段として使えるのが「小規模事業者持続化補助金(低リスク感染型)」です。
[1]小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型)とは
「小規模事業者持続化補助金」とは、小規模事業者が取組む販路開拓や生産性向上の取組みを支援する目的で交付される補助金です。小規模事業者の定義は以下の通りです。
美容室はこの表における「商業・サービス業(宿泊・娯楽除く)」に該当します。つまり常時使用する従業員の数が5人以下であれば対象となります。
【低感染リスク型ビジネス枠】
小規模事業者等がポストコロナ社会に対応したビジネスモデルの転換に資する取組や感染防止対策費(消毒液購入費、換気設備導入費等)の一部を支援する補助金。
・補助額:上限100万円、補助率:3/4
・補助対象:対人接触機会の減少を目的とした費用
まさに、感染防止のための消毒液の購入費、換気設備導入費等の資金繰りの手段として活用できるだけでなく、キャッシュレス化、ECサイト構築等といったIT化への取組みも対象となります。
対象となる費用の具体例
・チラシ・ポスター・ポップ・パンフレット等の作成
・HPの制作、改良
・Webマーケティング(リスティング広告、SNS広告等)
・店舗のイメージキャラクター制作
・店舗の改装(内装・外装)
・看板の設置
・新しい美容器具の導入(洗面台を含む各種美容器具)
[2]美容室・理容率の活用事例
①非対面型美容室サービスの提供事例事例
<美容業:従業員3名>
自動ドライマシン「自動ケアドライ」とソファベット型シャンプー台を導入。これにより、感染リスクを回避し、安心・安全の非対面型美容サービスを提供する。さらにホームページを拡充し、本サービスを周知するとともに、SNS広告(Instagram)プロモーションを実施。
〔効果〕
・お客様の感染リスクへの不安除去
・客単価の上昇 (客単価6000円増)
・新規顧客開拓 (新規顧客100以上増)
〔補助金・補助率〕
補助金80万、自己資金30万:補助率73%
②ソーシャルディスタンスの実現事例
<美容業:従業員2名>
セット面の増設とシャンプー台導入により、お客様同士の一定の距離を確保するとともに、パーティーション設置による飛沫感染防止対策、スタッフ動線の改善による効率化
〔効果〕
・お客様同士のソーシャルディスタンス(2m以上確保)
・バックシャンプースタイルへの変更による顧客と従業員の距離確保
・上記バックシャンプー台導入による利益率の高いトリートメント、ヘッドスパサービスの提供による増益効果
〔補助金・補助率〕
補助金100万、自己資金40万:補助率72%
③美容ケア商品のインターネット通信販売事例
<美容業:従業員5名>
インターネット通信販売サイトの構築
リスティング広告、SNS広告(Instagram)によるプロモーション
〔効果〕
・新たな販路開拓による売上の回復
・潜在顧客の増加(通信販売で当店をしったお客様がコロナ終息後に来店したいという潜在顧客が増加)
〔補助金・補助率〕
補助金100万、自己資金50万:補助率66%
以上はほんの一例ですが、中小企業庁によると、採択事業者の97.5%が客数増加、96.0%が売上増加を実感しているとの統計情報があります。オリンピック後もおさまらないコロナ感染拡大。上記のような取組みを行うことで、アフターコロナを見据えた事業戦略の検討が必要です。
【3】補助金申請のために必要なこと
補助金は申請し、審査のうえ、採択されて初めて受け取ることができます。そのためにも事業計画の提出が必要です。公募の主旨と合った事業計画か、現事業の実態はあるか、どのような特徴、強みをもった事業なのか、事業計画の具体性・実効性はあるか?といった観点で審査されます。
審査観点を踏まえた事業計画の策定が必要と言えるでしょう。自分でやるのが難しいと感じたときは、補助金申請の実績がある専門家にこれらのポイントを押さえた事業計画書を作成してもらうことで、審査に通る可能性が高くなります。
「小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型)」にチャレンジしたいと思われた方はぜひご相談ください。